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2020年10月16日【テクノロジー】

豊通、ケニアでバス運行管理システムを提供する新興企業に投資

NEXT MOBILITY編集部

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豊田通商とグループ会社のCFAO SAS(以下、CFAO)は10月16日、昨年10月に共同設立した「モビリティ54(Mobility 54 Investment)」を通じて、ケニアでバス交通事業者向けの運行管理システムを開発・提供する「Data Integrated(データ・インテグレイテッド/以下、DIL)へ投資したと発表した。

ケニアでは、約3万台の「マタツ」と呼ばれる乗り合いバスが古くより市民の移動手段として普及しており、首都ナイロビでは通勤者の約50%がマタツを利用していると云われている。

 

このマタツのオーナーは、主に個人事業主で、運行組合に所属しているが、それぞれ個別に運転手と運行従事者(*)を雇いバス事業を営んでいる。

 

そのため、運行情報が整理されておらず、乗客にとっては、目的地に向けていつどのバスに乗ればよいかなどの基本的な情報が不透明。また、現場の運行従事者が運賃や収益を管理しているため、オーナーにとっては、日々の乗客数や収益情報も不透明であり、顧客サービスの改善や車両入れ替え・メンテナンス時期の判断が難しいなどの課題が生じていると云う。

 

*運行従事者:バス乗り場で乗客への乗車誘導や、運賃の回収・管理を行う人。

 

 

 

 

DILは、ナイロビを中心に、マタツ運行組合のもとで使用されている約3,000台のバスに対して運行管理システム、発券システムを開発・提供しているスタートアップ。地場の運行業者との緊密な連携が求められる同事業領域で、現場と向き合いながら事業者側の課題解決のためのシステムを開発し、運行情報と乗車情報を整流化することで、バス事業管理の品質向上に寄与していると云う。

 

また、DILは、新型コロナウイルス感染症の感染防止策として、公共交通機関でのキャッシュレスシステム導入の義務化を予定しているケニア政府から、公式に指名を受け、自らの事業者ネットワークを活用し、バスのキャッシュレスシステムの導入と、乗客向けのバス検索・予約・決済アプリの配信を開始。政府と連携した衛生的なバスサービス運営に貢献している。

 

 

■マタツ事業相関図とDILが提供するサービス

 

 

 

豊田通商グループは、これまで主に車両とアフターサービスの提供というハード面で、アフリカでのモビリティ事業に取り組んできたが、今回のDILへの投資は、MaaS/CASE事業といったソフト面での取り組みを加速するもの。

 

同社は、ソフト/ハード両面での取り組みを通じて、より包括的にアフリカのモビリティ社会に関わり、今後も現地の課題解決に取り組んでいくとしている。

 

 

[会社概要]

 

<DIL>

 

– 会社名:Data Integrated Limited(データ・インテグレイテッド・リミテッド)
– 所在地:ケニア・ナイロビ市
– 代表者:Founder & CEO: Ms. Mary Mwangi(メアリー・ムワンギ)
– 設立:2012年
– 事業内容:ケニアでの交通事業者向けシステム開発・販売事業

 

<モビリティ54>

 

– 会社名:Mobility 54 Investment SAS
– 所在地:フランス・セーブル市
– 株主構成:豊田通商 70%、CFAO 30%
– 代表者:President & CEO 渡邊 剛
– 設立:2019年10月
– 事業内容:

アフリカ向けスタートアップ企業などへの出資・融資
豊田通商・CFAOグループ事業とのシナジー創出

 

 

■Data Integrated(英語):https://dataintegrated.co.ke/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。