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2020年4月4日【テクノロジー】

SkyDrive、CTOに元三菱航空副社長・岸信夫氏が就任

NEXT MOBILITY編集部

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空飛ぶクルマ(※1)を開発するSkyDriveの最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)に、三菱航空機でチーフエンジニアや副社長等を歴任した岸信夫氏が、4月1日付で就任した。リーン開発(※2)を進めてきたSkyDriveにとって、航空機の開発プロセスを熟知した岸氏の今回の参加は、安全性を更に考慮した開発プロセスの実施や、機体開発を加速させるものだと云う。

 

また、SkyDriveは4月4日、日本初の「空飛ぶクルマ」の有人飛行試験における技術検証第一弾が完了したことを発表した。

 

 

岸信夫氏は、大阪府立大学工学部卒業。三菱重工、三菱航空機で、旅客機などの開発に37年間従事。この間先進技術実証機プロジェクトマネージャ、国内初のジェット旅客機MRJ(SpaceJet)のチーフエンジニア、技術担当副社長を歴任。

 

SkyDriveのCTO就任に際して、岸信夫氏は、以下のように話している。

 

「SPACEJET(旧MRJ)を代表とする、37年にわたる航空機開発の中で培った、型式証明、安全性検証、プロジェクトマネジメント、システムインテグレーションなどの経験、知識を、SkyDrive社が目指す『空の輸送の概念を大きく変える空飛ぶクルマの開発、実用化』に活かしていきます。

 SkyDriveの社業を通じて、航空機の並みの安全性を確保したリーンな開発プロセス、先進的なコンポーネントの採用、革新的な量産プロセスなど多くの産業を巻き込む、まさに空を翔ける産業革命に貢献できればと思います」。

 

 

※タイトル写真:左から事業責任者の宮内氏、代表取締役の福澤氏、CTOの岸氏、チーフエンジニアの安藤氏。

 

 

■技術検証第一弾が完了し次なるフェーズへ

 

SkyDriveでは、空飛ぶクルマの開発に関して、2018年12月に無人形態での屋外飛行試験を開始し、以降、数々の技術検証を実施。そして、昨年12月から開始した有人飛行試験では、現試験機における操縦性、飛行安定性を確認し、その過程を終了した。

 

今後は、2つある開発プロセスの内の耐空証明フェーズへ移行して、人が操縦する事で明らかになった改善すべき特性を設計にフィードバック、2023年の実用化に向け、航空機レベルの開発管理を行っていくとしている。

 

 

 

 

※1:空飛ぶクルマは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」といい、電動化、完全自律の自動操縦、垂直離着陸が大きな特徴。既存の航空機に比べて低コスト・低騒音、かつ離発着場所もコンパクトになるため、日常的な空の移動を実現する新たなモビリティとして、現在、世界各国で開発が進められている。
 また、次世代産業の1つともされ、その市場規模は、2040年にはグローバルで150兆円に達すると予測(Morgan Stanley調査)されている。
 日本では、2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、経済産業省・国土交通省によって、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定され、都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている。

 

※2:トヨタ生産方式を開発工程に応用させた、プロセスから無駄を取り除くことを目的とした開発手法のこと。

 

 

[SkyDriveの概要]

 

– 会社名:株式会社SkyDrive
– 設立:2018年7月
– 代表者:代表取締役 福澤知浩
– 所在地:

・東京オフィス:東京都新宿区
・豊田テストフィールド:愛知県豊田市足助地区
・豊田R&Dセンター:愛知県豊田市挙母町2-1-1豊田市ものづくり創造拠点SENTAN

– 事業内容:

空飛ぶクルマ、カーゴドローン<https://www.skydrive.co.jp/pages/3434866/drone>の開発。カーゴドローンは昨年12月に予約販売開始。空飛ぶクルマについては、今年夏のデモフライトを、2023年の販売開始を予定している。

 

 

 

 

■SkyDrive:https://www.skydrive.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。