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2021年8月17日【政治経済】

緊急事態宣言、7府県追加。9/12迄延長へ

NEXT MOBILITY編集部

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菅内閣総理大臣は8月17日の記者会見で、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県の7府県に「緊急事態宣言」を発出し、また、宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県の10の県に、「まん延防止等重点措置」を適用、期間をそれぞれ、8月20日から9月12日までとすると発表した。

 

また併せて、現在「緊急事態宣言」の対象となっている6都府県、また「まん延防止等重点措置」の対象となっている6道県について、期間をそれぞれ9月12日まで延長すると発表した。

 

<其々の措置が実施される区域と期間>

 

■緊急事態宣言

・沖縄県:5月23日~9月12日
・東京都:7月12日~9月12日
・埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府:8月2日~9月12日
・茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県:8月20日~9月12日

 

■まん延防止等重点措置

・京都府、兵庫県、福岡県:8月2日~8月19日
・北海道、石川県:8月2日~9月12日
・茨城県、栃木県、群馬県、静岡県:8月8日~8月19日
・福島県、愛知県、滋賀県、熊本県:8月8日~9月12日
・宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県:8月20日~9月12日

首相官邸・ロゴ

菅総理は会見で、全国で新型コロナウィルスの新規感染者数が急増し、先週末には2万人を超えた他、これまで低く抑えられてきた重症者の数も増加し、入院患者や自宅・ホテルでの療養患者が急速に増加。これに伴い、保健所の体制や医療提供体制が逼迫し、首都圏を中心に非常に厳しい状況となっていること、また、その要因に感染力が極めて強いとされるデルタ株の拡大があることなどについて言及。

 

これらデルタ株の拡大に対し、必要な病床や療養施設を確保しつつ、自宅療養患者であっても、病状が急変した場合には適切な対応が取れる医療体制を確保すると共にワクチン接種を進めていくため、今回、それぞれの地域の感染者・病床の状況を踏まえ、措置を講ずる地域を拡大。そのための期間として宣言の延長を決定したと述べた。

 

そして、医療体制の構築、感染防止、ワクチン接種という3つの柱からなる対策を確実に進めることで、政府として国民の命を守ることを約束。宣言の解除については、医療提供体制の確保を前提に、ワクチンの接種状況、重症者、病床利用率などを分析し、判断を行うと語った。

 

 

 

 

[3つの柱内容]

 

<第1の柱>

 

①医療体制の確保

 

自宅療養患者:自治体や地域の医療機関と連携し、必ず連絡が取れる体制を構築。医師による電話診察強化のため、診療報酬や訪問診療の報酬を引上げる。また、酸素投与が必要になった場合に、速やかに酸素投与ができる酸素ステーションを各地の病院などに設ける。

 

入院患者:重症患者がきちんと入院できるよう、7月以降、全国で約1,400の病床を確保してきたが、今後は、自治体と協力し、国も働き掛けを行うことで、さらなる確保を進める。

 

ホテル療養患者:家庭内の感染防止に有効な療養のための宿泊施設として、7月以降、ホテル客室を全国で1,700を追加して確保。今後も最大限の上積みを行っていく。

 

②重症化を防ぐための対応

 

点滴によってウイルスに対する抗体を投与し、重症化リスクを7割減らすともいわれる中和抗体薬を、今後、病院のみならず、療養するホテルなどでも利用できるよう自治体と協力。それにより、対象となる50代以上や、基礎疾患のある方々に対して集中的に使用し、重症化を防いでいく。

 

<第2の柱>

 

感染防止対策(コロナ分科会からの人流5割削減に向けた提言を受けての施策)

 

・宣言地域などにおいて、自治体と連携し、デパートやショッピングモールなどの混雑する場所で人数制限を呼び掛ける。

 

・職場や学校におけるクラスターを防ぐために、抗原検査キットを広く配布。それぞれでテレワークの推進を改めて行い、お盆休み明けにもう一度出勤者7割減を目指すよう要請する。

 

・時間短縮、酒類提供の停止を続ける事業者に協力金を早期に給付する他、雇用調整助成金や緊急小口資金などの特例も期限を延長。こうした中で、全国の都道府県と市町村がきめ細かく事業者の支援を実施できるよう、3,000億円の交付金を新たに配分する。

 

<第3の柱>

 

ワクチン接種

 

既に85パーセントが2回の接種を終えた65歳以上の高齢者の多くは、今回の感染の急拡大の中、陽性者に占める割合は、かつての20パーセント台から3パーセント程度に低下し、死亡者の数も大幅に低く抑えられていることから、ワクチンはデルタ株に対しても、発症、重症化を防ぐ高い効果を示しているということができる。

 

この全国における1日の平均接種回数は、6月に110万回、7月に150万回、そしてお盆休みの影響もある8月でも100万回以上となり、総接種回数は1億1,000万回超に。その結果、現在、少なくとも国民の半数が1回目の接種を終え、8月末には全国民の半数近くが、そして9月末には6割近くが2回目の接種を終える目処が立っている。

 

政府は、全ての対象者の8割が接種できる量のワクチンを10月初旬までに配分することで、10月から11月のできるだけ早い時期に、希望する全ての人への2回目のワクチン接種の完了を目指す。

 

 

 

 

[菅総理発言の冒頭(全文ママ)]

 

まず、会見に先立ちまして、今回の大雨で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
政府としては、被災者の救命救助、復旧支援に全力を挙げてまいります。国民の皆さんには、警戒感を緩めず、早めに命を守る行動をしっかり取っていただきますようにお願いいたします。

 

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発出するとともに、宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県にまん延防止等重点措置を適用し、期間はそれぞれ8月20日から9月12日までとすることを決定いたしました。あわせて、緊急事態宣言の対象となっている6つの都府県について、また、まん延防止等重点措置の対象となっている6つの道県について、期間をそれぞれ9月12日まで延長することを決定いたしました。

 

全国の各地で新規感染者の数が急増し、これまでに経験のない感染拡大が続いております。全国の新規感染者数が先週末には2万人を超え、正に危機的な状況にあります。これまで低く抑えられてきた重症者の数も増加し、入院者の方や、自宅、ホテルで療養する方も急速に増加をいたしております。これに伴い、保健所の体制や医療提供体制がひっ迫し、首都圏を中心に非常に厳しい状況となっています。
 要因は、感染力が極めて強いとされるデルタ株です。デルタ株は、世界的にも予期せぬ感染拡大をもたらしており、我が国においても急速な置き換わりが進み、残念ながら、全く異なる様相をもたらしています。

 

こうした中で、政府の使命は、国民の命を守ることであり、急激な感染拡大の中にあっても、必要な方が必要な医療を受けられる医療体制を構築することです。必要な病床や療養施設を確保しながら、自宅にいる方であっても、病状が急変した場合には適切な対応が取れる、そうした命を守るための医療体制を確保することが何より急がれます。同時に、感染者数をできるだけ下げるための対策を続け、その間にワクチン接種を進めてまいります。こうした認識の下で、今般、それぞれの地域の感染者や、病床の状況を踏まえ、措置を講ずる地域を拡大し、併せて、必要な医療を確実に受けることができる体制を構築することとして、そのための期間として宣言の延長を決定いたしました。

 

多くの国民の皆様、関係者の皆様には、これまでも多大な御苦労をお掛けしており、心苦しい限りであります。しかし、国民の皆様の御協力を頂きながら、この危機を乗り越えるという強い決意の下で、医療体制の構築、感染防止、ワクチン接種という3つの柱からなる対策を確実に進めてまいります。

 

第1の柱は、医療体制の確保です。まずは、急増している自宅で療養される方への対応です。自宅にいる患者の皆さんは、大変不安な気持ちでおられると思います。自治体や地域の医療機関と連携して、必ず連絡が取れるようにいたします。医師による電話診察を強化するために、そのための診療報酬や訪問診療の報酬の引上げを行います。酸素投与が必要になった場合には、病院などに設ける酸素ステーションに滞在していただくなど、速やかに酸素投与ができる体制を各地に構築をしていきます。
 次に、入院などが必要とされる方々への対応です。症状が重い方がきちんと入院できるよう、7月以降、全国で約1,400床を新たに確保しています。自治体と協力し、国自身も働き掛けを行い、さらに病床の確保を進めていきます。軽症者のためのホテル療養についても、7月以降、全国で1,700室を追加しています。ホテル療養は、家庭内の感染防止に有効であり、今後も最大限の上積みを行ってまいります。
 さらに、重症化を防ぐための対応です。先月導入された中和抗体薬は、点滴によってウイルスに対する抗体を投与し、重症化リスクを7割も減らすことができる画期的な薬です。政府としては、十分な量を確保しており、今後、病院のみならず、療養するホテルなどでも投薬できるよう、自治体と協力を進めていく方針であり、昨日、都内のそうした施設を視察してまいりました。既に全国の約1,000の病院で約4,000人に投与されており、現場からは、中和抗体薬により多くの患者がはっきりと快方に向かい、退院されていったとのお話も伺っております。対象となる50代以上や、基礎疾患のある方々に対して集中的に使用し、重症化を防いでまいります。

 

第2の柱は、感染防止対策です。先日、コロナ分科会より、緊急事態宣言の区域における人流の5割削減に向けた提言がなされました。政府としても、宣言の地域などにおいて、デパートやショッピングモールなどの混雑する場所について、自治体と連携して、人数制限を呼び掛けてまいります。皆様におかれては、旅行や帰省は控えていただいた上で、日々の買物といった混雑した場所への外出を半分減らしていただくなど、人流の抑制への御協力をお願いいたします。
 また、職場や学校におけるクラスターを防ぐために、抗原検査キットを広く配布してまいります。それぞれの職場においては、談話室などの共有部分での対策を徹底していただくとともに、テレワークの推進を改めて行い、昨年春に多くの企業が達成した出勤者7割減をお盆休み明けにもう一度目指していただくよう、お願いいたします。
 時間短縮、酒類提供の停止を続けていただく事業者の方々には、協力金を早期に給付してまいります。また、雇用調整助成金や緊急小口資金などの特例も期限を延長し、事業と暮らしを守っていきます。こうした中で、全国の都道府県と市町村がきめ細かく事業者の支援を実施できるよう、3,000億円の交付金を新たに配分いたします。
 東京では、連日、20代の新規感染者が1,000人を超え、20代から50代の感染が全体の8割近くを占めております。感染は、家庭、飲食の場で広がり、職場でのクラスターも急増しています。若い方であっても、重症化する場合や深刻な後遺症が続くケースも報告されており、また、夜間滞留人口に占める40代、50代の割合も増加し、その世代の重症者の増加は、今回の感染拡大の特徴の一つとなっております。
 医療機関への負荷を減らすため、また、皆様自身の命と健康を守るためにも、いま一度、お一人お一人が意識を持って、リスクの高い行動を避けていただきますようにお願いいたします。マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底し、特に会話をするときのマスク着用を改めてお願いいたします。

 

第3の柱は、ワクチン接種であり、ワクチンはデルタ株に対しても高い効果を示しております。既に85パーセントが2回の接種を終えた65歳以上の高齢者の多くは、今回の感染の急拡大の中にあっても、発症、重症化を防ぐことができています。その結果、陽性者に占める割合は、かつての20パーセント台から足元では3パーセント程度に低下し、死亡者の数も大幅に低い水準に抑えられております。多くの関係者の御尽力のおかげさまで、ワクチンの接種は、全国で、6月は1日平均110万回、7月は1日平均150万回と目標をはるかに上回るペースで進みました。8月は、お盆休みの影響があっても1日100万回以上のペースで進み、今日までに、国民の半数が少なくとも1回の接種を終え、総接種回数は1億1,000万回を超えております。
 世界各国では、ワクチンの接種が一定の進捗を示すのを機に、通常の社会経済活動へと回復しつつあります。我が国についても、8月末には全国民の半数近くの方が2回の接種を行い、そして9月末には6割近くの方が2回の接種を終え、現在のイギリスやアメリカ並みに近づく見通しです。全ての対象者の8割に接種できる量のワクチンを10月初旬までには配分いたします。
長きにわたる新型コロナとのこの闘いで、多くの皆様に精一杯御協力いただいてきました。しかし、ここに来て、感染の急拡大は、そんな皆様の間に、この先、どうなってしまうのかという強い不安や、対策を守っても仕方ないという諦めを抱いているのではないかと懸念いたしております。また、多くの方々には、せっかくの夏休みなのにという不満があるのも当然のことだと思います。
 これから、ワクチン接種が40代、50代、さらには若い世代の方々へ進めば、明らかな予防効果が期待でき、はっきりとした明かりが見えてきます。10月から11月のできるだけ早い時期に、希望する全ての方への2回のワクチン接種の完了を目指してまいります。

 

今回の宣言を解除する前提は、国民の命と健康を守ることができる医療提供体制の確保です。ワクチンの接種状況、重症者、病床利用率などを分析し、適切に解除の判断をしてまいります。その先には、飲食店の利用、旅行、イベントなど、社会経済活動の回復が視野に入ってきます。総力を挙げて取り組みます。皆さんの御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

 

 

 

 

■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(8月17日/動画有):https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0817kaiken.html
■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

■(内閣官房新型インフルエンザ等対策室)新型インフルエンザ等対策:http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。