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2019年5月22日【テクノロジー】

マツダ、第69回自動車技術会賞で技術開発賞など3賞受賞

NEXT MOBILITY編集部

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マツダ技報・HP

 

 

マツダは、「第69回自動車技術会賞」において、プレミアムカラーの質感評価技術で「技術開発賞」を、自動車用高機能樹脂材料の研究で「技術貢献賞」を、広島大学との共同研究による車体後端形状の空力特性に関する論文で「論文賞」を各1件受賞した。

 

自動車技術会賞は、1951年に自動車工学や自動車技術の向上発展の奨励を目的に設けられ、自動車技術会から、自動車技術への多大な貢献・功績を認められた個人に贈られる。

 

技術開発賞は、自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人とその共同開発者が対象で、マツダ社員がこの賞を受賞するのは8年連続となる。

マツダ・ロゴ

[受賞した技術、技術者および受賞理由]

 

■技術開発賞

 

<受賞対象>

 

プレミアムカラー実現に向けた、光学測定の進化による『匠』の目の質感評価技術の確立

 

<受賞者>

 

– 久保田 寛(くぼた ひろし)、マツダ株式会社 技術研究所
– 湊 允哉(みなと まさや)、マツダ株式会社 技術研究所
– 桂 大詞(かつら だいじ)、マツダ株式会社 技術研究所
– 赤峰 真明(あかみね まさあき)、マツダ株式会社 技術研究所
– 中野 さくら(なかの さくら)、マツダ株式会社 技術研究所

 

<受賞理由>

 

近年、高意匠なプレミアムカラーの市場導入が積極的に進められているが、プレミアムカラーは、塗料配合や工程条件等で大きく品質が変化する上に、形状や見る環境によって複雑に意匠が変化。

 

そのため、これまでは、プレミアムカラーを安定して提供するには、材料や工程を知り尽くしたデザイナーやエンジニア(「匠」)が不可欠だった。

 

この技術は、プレミアムカラーの仕上がり性および発色性の質感評価を光学測定技術/評価解析技術の深化により「匠」の目を再現することで、複雑形状や様々な環境下で、質感を決定づける「仕上がり性」と「発色性」を高精度に定量化。

 

今後のプレミアムカラーの更なる高意匠化に対し、品質、生産のロバスト性確保、環境規制対応、グローバル化には不可欠であり、貢献が大きい点が高く評価された。

 

 

■技術貢献賞

 

<受賞対象>

 

環境負荷低減につながる自動車用高機能樹脂材料技術の進歩発展への貢献

 

<受賞者>

 

– 松田 祐之(まつだ ゆうし)、マツダ株式会社 技術研究所

 

<受賞理由>

 

樹脂材料は、低比重や優れた成形性等の特徴から自動車への適用が拡大。近年の例として、大幅な軽量化と1個当たりの製造時間半減を実現した薄肉バンパーや、射出成形の成形性を活かして多くの大型部品を一体成形した機能統合モジュールがある。

 

受賞者は、これらの適用のネックであった耐衝撃性を向上させるため、ねらいの微細構造を実現できる材料成分や配合処方を見出し、樹脂材料の高性能化に大きく貢献した。

 

また、近年の環境対応という時代の要請に対して、業界初の廃車バンパーから新車バンパーへのリサイクル技術の開発、高耐熱・高強度なバイオプラスチックおよび世界初の植物由来100%の繊維からなる自動車用シート表皮開発等を実現させ、技術トレンドにも影響を与えるなど、業界の技術発展に多大な貢献をした。

 

なお技術貢献賞は、自動車に関する技術の進歩発達に貢献した個人が対象となる。

 

 

■論文賞

 

<受賞対象>

 

車体後端形状が風向の時間変化に伴う過渡空力特性に与える影響

 

<受賞者>

 

– 中島 卓司(なかしま たくじ)、広島大学
– 濱村 航明(はまむら こうめい)、広島大学
– 清水 圭吾(しみず けいご/*1)、マツダ株式会社 技術研究所
– 平岡 武宜(ひらおか たけのり) マツダ株式会社 技術研究所
– 農沢 隆秀(のうざわ たかひで) マツダ株式会社 技術研究所

 

*1:論文発表時は広島大学出向。

 

<受賞理由>

 

この論文は、路上風などの外乱によって相対風向が時間的に変化した際の自動車の空気抵抗変化(過渡空力特性)について、模型風洞試験により調査。

 

従来、連続的な風向変動に対する応答が議論されてきた空気抵抗に対する外乱影響について、横風帯突入時のような単発的風向変化に起因する流れの履歴影響に注目した調査を行い、空気抵抗変化を生む現象を従来と異なる形で分離し、解明した。

 

加えて、車体形状設計において重要な車体側面後端部の形状影響を論じ、同後端部が曲面の場合には風向変化後に長時間遅れて空気抵抗変化が生じうることを示した点や、空気抵抗変化の遅れの要因現象を従来の知見と関連付けて論じた点は、外乱影響を考慮した今後の車両空力開発における重要な知見であり、論文の自動車工学的価値が高く評価された。

 

なお論文賞は、自動車技術に関係する優れた論文を発表した個人およびその共著者が対象となる。またこの論文は、マツダが広島大学大学院に設置している次世代自動車技術共同研究講座空気力学研究室の研究成果によるものとなる。

 

 

マツダは、今回の受賞を励みに、将来においても「地球」、「社会」、「人」、とクルマが共存する世界の実現を目指し、「走る歓び」にあふれたカーライフを通じ、ユーザーの人生をより豊かに、特別な絆を持ったブランドになることを目指すとしている。

 

 

 

■公益社団法人 自動車技術会:http://www.jsae.or.jp

■マツダ技報:http://www.mazda.com/ja/innovation/technology/gihou/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。