NEXT MOBILITY

MENU

2021年9月28日【トピックス】

緊急事態宣言、9/30を以て全国で解除

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

菅内閣総理大臣は9月28日の記者会見で、19都道府県の「緊急事態宣言」および8県の「まん延防止等重点措置」を、9月30日を以て全面的に解除し、制限を段階的に緩和すると発表した。

首相官邸・ロゴ

今回の決定について菅総理は、8月半ばに全国で2万5,000人超だった全国の新規感染者数が9月27日時点で1,128人に、東京に於いても5,773人から248人(9月28日時点)まで大幅に減少したこと。また、病床利用率が、全ての都道府県において50%を下回り、重症者数も9月初めをピークに減少傾向あること。更に、全国で一時13万人を超えた自宅療養者も3万人へと減り続けており、専門家から示された宣言解除の基準を満たしていること等を踏まえ判断。その上で、ウイルスへの高い警戒は保ちながら、飲食などの制限については段階的に緩和すると語った。

 

また、累積の新規感染者数に対する死者数の割合について、1月から3月の3か月は2.4%、4月から6月は1.7%であるのに対し、今回の感染拡大期に対応する7月から9月の3か月では0.3%に留まっていることから、ワクチン接種と中和抗体薬で重症化を防ぐことが可能であると述べた。

 

 

 

 

コロナ対策、3つの方針

 

菅総理は、今後はウイルスの存在を前提とし、社会全体の対応力を高めて次の波に備えながら、感染対策と日常生活を両立していくことが重要であるとし、以下3つの方針でコロナ対策を進める必要があると語った。

 

①医療体制のもう一段の整備

 

7月以降、全国で4,800の病床や1万4,000室の軽症者用のホテルを確保。更に臨時の医療施設、酸素ステーションを全国で合わせて約80施設を設置し、現在も増設中。自宅療養者に対しては、身近な診療所や在宅医療の専門医が健康観察や入院の判断を行い、必要な医療が受けられる体制を各地で構築。診療報酬を大幅に引き上げ、自宅への往診や外来診療でも使用可能とした。

 

また、構築したこれらの資源をフル活用し、再び感染拡大が発生しても十分に機能する体制作りのため、各都道府県と医療機関が協議し、すぐに病床や人材を確保・活用できる方針の作成を進める。

 

②着実なワクチン接種の継続

 

ワクチンの効果により、今回の感染拡大では65歳以上の感染者を10万人、死亡者を8,000人減らすことができたとの厚生労働省の試算もあることから、希望する全ての国民への2回目のワクチン接種を10月から11月のできるだけ早い時期に終えられるよう進める。

 

加えて、2回目から概ね8か月以上後という審議会の意見を踏まえ、年内にも3回目接種が開始できるよう準備を進める。

 

③日常生活の回復

 

安心と賑わいのある日常の回復に向けて段階的に制限解除を進め、10月1日以降、都道府県の判断で、認証を受けた飲食店での酒類提供や21時までの営業時間延長を可能に。イベント入場者数の制限も最大1万人まで緩和し、これら段階的緩和の上で、ワクチンの接種証明や検査結果も活用した更なる措置を検討する。

 

また、ビジネスに必要な国際的な人の往来も、制限緩和を積極的に検討し、来月1日から、原則としてワクチン接種済みの帰国者の自宅待機を2週間から10日間に短縮。今後は、更なる措置を検討する。

 

 

 

 

[菅総理発言の冒頭(全文ママ)]

 

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、19都道府県の緊急事態宣言及び8県のまん延防止等重点措置の全てを、9月30日をもって解除し、制限を段階的に緩和することを決定いたしました。

 

7月以降、感染力の極めて強いデルタ株によって、全国各地でかつてない勢いで感染が拡大しました。それに伴い、病床のひっ迫は非常に厳しい状況となりました。こうした中で、医療・介護関係者、飲食などの事業者、国民の皆さん、お一人お一人に御協力いただきながら、医療体制の構築、感染防止対策、ワクチン接種を懸命に進めてまいりました。

 

多くの皆様の御尽力により、8月の半ば過ぎに2万5,000人を超えていた全国の新規感染者数は大幅な減少を続け、昨日は1,128人となりました。東京では5,773人から本日は248人まで減りました。病床の利用率は、全ての都道府県において50パーセントを下回り、重症者は9月初めをピークに減少傾向にあります。一時は全国で13万人を超えた自宅療養者も3万人となり、なお減り続けております。現在の状況は先般、専門家から示された宣言解除の基準を満たしており、解除を判断いたしました。
 これまでに御協力いただいた全ての皆様方に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

その上で、ウイルスへの高い警戒は保ちながら、飲食などの制限については段階的に緩和することといたします。これから、新型コロナとの闘いは新たな段階を迎えます。ワクチン接種が急ピッチで進む中で、感染リスクが高い場面を抑えることにより、感染者数は大きく減っています。

 また、ワクチン接種と中和抗体薬で重症化を防ぐことができます。パネルにもありますとおり、累積の新規感染者数に対する死者数の割合は、1月から3月の3か月は2.4パーセント、4月から6月は1.7パーセントであるのに対し、今回の感染拡大期に対応する7月から9月の3か月では0.3パーセントにとどまっております。

 

こうした大きな変化に対応した医療体制の構築により、一定の感染が生じても、安定的な医療の提供ができるようになります。今後はウイルスの存在を前提とし、社会全体の対応力を高め、次の波に備えながら、感染対策と日常生活を両立していくことが重要です。そのためには、次の3つの方針で進めていかなければならないと思います。

 

第1に、医療体制のもう一段の整備です。7月以降に全国で4,800病床、1万4,000室の軽症者用のホテルを確保し、更に臨時の医療施設、酸素ステーション合わせて全国で約80施設を設置し、現在も増設を進めております。自宅で療養する方々に対しては、身近な診療所や在宅医療の専門医が健康観察や入院の判断を行い、必要な医療が受けられる体制を各地で構築しております。
 私がお会いした在宅医療のチームは、勤務医の方々が交替で訪問診療に当たり、クラウドファンディングや企業の寄附も活用して、献身的に活動されておられました。また、効果の目覚ましい中和抗体薬については、既に3万4,000人に使用されています。診療報酬も大幅に引き上げて、入院しなくても、自宅への往診や外来診療でも使えるようにしました。「翌日には効果を現す画期的な薬を使えることについて、医師冥利(みょうり)に尽きる」、こうした医療現場の声も伺いました。
 持てる力を全て使って構築したこれらの資源をフル活用して、今後再び感染拡大が発生したとしても、十分に機能する体制を作っておかなければなりません。各都道府県と医療機関が協議し、いざというときにすぐに活用できる病床や人材を確保できるように方針の作成を進めます。
 そして皆様には、これまで同様に、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防を続け、感染リスクの高い行動は避けていただくよう、お願いします。昨日から抗原検査キットを薬局で購入できるようにしました。体調が気になる場合には自ら検査を行い、医療機関の受診につなげていただきたいと思います。

 

第2に、着実なワクチン接種の継続です。今月もワクチン接種は1日110万回で進み、総接種回数は1億6,000万回を超えました。既に全国民の69パーセントが1回接種し、58パーセントが2回の接種を終え、数か月前まではその背中も見えなかったアメリカの接種率を抜きました。高齢者の接種率は約9割に達し、多くの方々にワクチン接種を受けていただいております。
 ワクチンの効果により、今回の感染拡大では65歳以上の感染者を10万人、死亡者を8,000人減らすことができたとの厚生労働省の試算もあります。50代でも1回接種が8割程度まで進み、2回接種が6割を超え、足元の感染者数の減少や重症化の防止に大きく貢献したと考えております。
 10月から11月のできるだけ早い時期に希望する全ての国民が2回目を終えるよう、接種を進めます。最終目標を8割に引き上げた自治体も多く、このまま進めば、我が国は世界でもワクチン接種が最も進んだ国の一つになります。これまでのお一人お一人の御協力が私には大変ありがたく、誇らしい気持ちで一杯です。
 3回目の接種も見据え、既に2億回分の契約を結んであります。2回目の接種からおおむね8か月以上後との審議会の意見を踏まえ、年内にも3回目接種が開始できるよう、準備を進めます。

 

第3に、日常生活の回復です。ワクチン接種によって社会全体の感染予防効果が高まり、感染者数も大きく減少してきたことで、ようやく社会経済活動の正常化が見えてきました。私自身がお約束してきた安心とにぎわいのある日常の回復に向けて、段階的に制限の解除を進めてまいります。
 10月1日以降、当面はアクリル板の設置や換気などの対策を取り、認証を受けた飲食店においては都道府県の判断で酒類を提供し、営業時間は21時までとすることも可能とします。イベントについては最大1万人までと致します。このように段階的な緩和を行った上で、ワクチンの接種証明や検査結果も活用した更なる措置を検討いたします。ビジネスに必要な国際的な人の往来についても、その制限を緩和していく方策を積極的に検討します。来月1日からは、原則としてワクチン接種済みの帰国者の自宅待機を2週間から10日間に短縮いたします。今後、更なる措置を検討してまいります。

 

総理に就任してから1年余り、新型コロナとの闘いに明け暮れた日々でした。私自身、政治家を志して以来、いつも幅広い方々の話を徹底して聞き、現場で物事が動き、人々が生き生きとやっていけるよう努めてきました。自宅で療養される方々への医療、飲食など事業者の生活、子供たちの教育、生活困窮者の暮らし、そして、孤独な状況に置かれた人々、そうした人々に思いをはせ、悩み抜いた日々もありました。

 

そうした中でたどり着いたのが、ワクチンと治療薬でした。無理だろうと言われながらも、これまでの発想にとらわれず、打ち手が足りなければ歯科医師や救急救命士や臨床検査技師に打ち手をお願いし、打ち手を確保し、職域での接種を導入し、そして、厚生労働省だけでなくオール日本の政府で総務省を通じて全国の自治体にも協力を求めながら、全力で取り組んできました。その結果、ようやく皆さんに行き渡りつつあります。
 ワクチンと治療薬に目途が付きつつある中で、新型コロナとの長い闘いにもはっきりとした明かりが見えてきていると申し上げました。この言葉には数々の御批判もありましたが、今や効果は明らかであり、明かりは日々輝きを増している、このように実感しております。また、軽症者が自宅で使える飲み薬についても、早ければ年内を目指して開発が進められており、承認次第、投与できるよう交渉をしっかりと進めております。
 御協力いただいた全ての皆様に改めて心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

昨年総理に就任してから1年余り、ただひたすらに走り続けた日々でした。全てをやり尽くすには短い期間でありましたが、長年の課題に挑み、様々な改革に道筋を付けるつけることができました。4月の訪米の際にバイデン大統領に直接要請した福島のお米や牛肉を含む日本産食品の輸入規制が、先般、全面的に撤廃されました。内閣の重要な使命である東北の復興にとって、大きな励みとなると思います。
 外交・安全保障においても、日本が歩むべき進路をお示しできたと思います。基軸である日米同盟はかつてない高みにあります。先週には初めて対面での日米豪印の首脳会合が実現し、日本が牽引(けんいん)してきた自由で開かれたインド太平洋、この構想を大きく前進させることができました。
 日本は今、正に正念場にあると思います。国難と言うべき少子高齢化、激変する安全保障環境、更に新型コロナによってデジタル化の遅れなどの課題も浮き彫りになりました。日本の未来のためには成長を実現し、国民の食いぶちを作っていかなければならない、痛みを伴う改革であってもしっかりと説明し実現していくことがますます重要となってまいります。

 

最後になりますが、この1年、お付き合いいただいた記者の皆様方にも感謝申し上げます。

 そして、国民の皆様。皆様の御協力なしには何一つ実現することができなかったと思います。国民のために働く内閣への皆様の御支援、御協力に心から感謝と御礼を申し上げます。皆さん、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(9月28日/動画有):https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0928kaiken2.html
■(首相官邸)新型コロナワクチンについて:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

■(内閣官房新型インフルエンザ等対策室)新型インフルエンザ等対策:http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。