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2022年7月4日【企業・経営】

ボルボ・カーズ、スロバキアにEV専用の製造工場新設へ

NEXT MOBILITY編集部

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スウェーデンのボルボ・カーズは、現地時間の7月1日、電気自動車(EV)の旺盛な需要に対応し、将来の成長性を確保するため、欧州で3番目となる自動車の製造工場を、スロバキア東部のコシツェ近郊に新設すると発表した。投資額は約12億ユーロ(日本円:約1,691億円/1ユーロ=140.92円で換算(7月4日時点))(※1)。

 

新工場は、2030年までに100%をEVに、2040年までにクライメート・ニュートラル(気候中立)なオペレーションを実現させるという同社目標を支えるものとして、成長計画に合わせてグローバルに生産能力を拡張していくと云う。

コシツェ工場の建設には、来年着工。2024年には設備と生産ラインを設置し、2026年から次世代EVの量産を開始する予定。年間最大25万台の自動車生産能力を有する同工場では、数千人の新規雇用が期待できる他、将来的には工場の更なる拡張も計画していると云う。

 

新工場は、エネルギーおよび環境効率に於いて最高レベルの世界標準を目指し、最適化されたレイアウトと物流フローによる、持続可能かつ効率的なプレミアムEV生産拠点として設計され、同社の目標である「2025年までにクライメート・ニュートラルな生産活動を行う」に沿って、クライメート・ニュートラルに即したエネルギーのみを使用。

 

ボルボ・カーズは、このスロバキア コシツェの新工場を以て、西ヨーロッパのゲント工場(ベルギー)、北ヨーロッパのトースランダ工場(スウェーデン)を補完し、最大の販売地域をカバーするヨーロッパの製造トライアングルを形成。また、同国5番目の自動車工場として、既に確立された自動車部品供給網の恩恵も受けられると云う。

 

なお、ボルボ・カーズにとって、欧州に於ける新製造拠点の設立は、1964年のトースランダ工場、その1年後のゲント工場の開設以降、約60年ぶり。新工場完成の暁には、3拠点合わせて、年間60万台の自動車生産が可能になる。

 

2020年代半ば迄に年間販売目標120万台を掲げるボルボ・カーズは、欧州、米国、アジアにまたがるグローバルな生産拠点により、今後、目標達成を目指していくとしている。

 

※1:スロバキア政府による約20%の支援を予定。

 

 

[新工場建設についてのコメント]

 

・ボルボ・カーズ ジム・ローワンCEO

 

「私たちは、2030年までに完全な電動モビリティ・ブランドになるという明確な目標を掲げており、これは私たちの目的に沿ったものです。
 最大の販売地域である欧州での生産拡大は、当社の電動化へのシフトと継続的な成長にとって極めて重要です。私は生産拠点をスロバキアに拡大することを大変嬉しく思います。また、これから新しい仲間やパートナーを迎えることを楽しみにしています」。

 

・ボルボ・カーズ ハビエル・ヴァレラ最高執行責任者

 

「ボルボ・カーズ・コシツェのチームとグローバルなボルボ・カーズ・ファミリーに新しいメンバーを迎えること、そしてこの地域で新しいコラボレーションやパートナーシップを確立することを楽しみにしています。サステイナビリィティと安全性を重視した最新鋭の工場で、現代的な職場となるでしょう」。

 

・スロバキア共和国 エドゥアルド・ヘーガー首相

 

「ボルボ・カーズがスロバキアに新工場を建設することを決定したことを高く評価します。ボルボ・カーズの新工場は、地域社会の経済状況を改善し、電気自動車のみを生産することにより、新しい環境の時代においてスロバキアの自動車産業に競争力を与えることになります」。

 

・スロバキア リチャード・スリック経済大臣

 

「個人的に、スロバキアがこの巨大投資の競争に勝ち抜いたことを大変嬉しく思います。この投資は、スロバキア東部に発展と多くの雇用をもたらし、直接的及び間接的に雇用機会も多くもたらすでしょう」。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。