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2020年8月27日【テクノロジー】

スバルと群大、次世代自動車技術の共同研究講座を設置

NEXT MOBILITY編集部

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スバル(SUBARU)と群馬大学は、4月1日付で群馬大学大学院理工学府内に設置した共同研究講座「次世代自動車技術研究講座」の発足式を、8月7日太田キャンパスで実施し、27日、群馬県庁で設置報告会を行った。

スバルでは、「安心と愉しさ」を追求したクルマづくりをさらに確かなものとするために「2030年に死亡交通事故ゼロ(*1)」の実現を目標に、研究開発を進めてきた。

 

2005年には、富士重工業(現スバル)群馬製作所と群馬大学との包括協定を締結し、以降、大学院連携講座や共同研究などで連携体制を構築。今回、その実績を元に、世の中の変化や技術の進歩に合わせ、より速く柔軟な包括的対応ができる共同研究体制とするため、さらには社会ニーズに基づく教育プログラムを開発するため、「次世代自動車技術研究講座」を設置した。

 

スバルは、この講座を、2030年のその先に求められる自動車技術創出のための“イノベーション拠点”に育てていきたいとしている。

 

講座では、「もっと笑顔でもっと安心な、愉しい生活を人々にもたらすクルマ」を追求し、クルマの新たな価値を創出する研究開発を行う。また、この講座を核として、スタートアップ企業や地域企業等の参画、他研究機関との連携も進め、学生・研究者・社会人の人材育成や社会貢献も含めた、群馬大学―スバル型の独自の産学連携プラットフォームを構築していく。

 

さらに、これまで個々に進めていた共同研究を統括し、群馬大学が持つ理工系、医学系、保健学系、情報系の知のリソーセスを結集。スバルの研究課題を解決するための取り組みを、群馬大学―スバル間で戦略的、包括的、組織的に進めていく。

 

活動期間は、2020年から2023年の3年間を「第一期、活動基盤整備フェーズ」と位置付け、以下①安全領域、②感性領域、③設計プロセス改革領域の取り組みから始める。

 

 

①安全領域

 

死亡交通事故ゼロから、さらには究極の交通事故ゼロを目指す。

 

人とクルマのインタラクション、クルマと周辺交通環境のありたい姿を追求し、様々なセンシング機能と人工知能を搭載する次世代高度運転支援車両や自動走行機能搭載車両等への適用研究と社会実装を通して、もっと「ぶつからない安全なクルマ」を実現していく。

 

②感性領域

 

クルマに対して人が感じる「安心」と「愉しさ」を、医学・人体科学に係わるアプローチからひも解き、設計可能な工学に結びつけていく。

 

乗員や交通参加者の脳が判断するメカニズムを、視覚、三半規管が持つ聴覚や平衡感覚、振動や圧力等を感じる人体感覚器に着目して解明し、これをクルマが持つ人間拡張感覚の増幅や最適化、車両制御技術への応用研究を進めて、次世代技術として確立していく。

 

③設計プロセス改革領域

 

開発初期段階から仮想空間でクルマのすべての機能・性能・品質について設計―評価と造りこみを効率的に行うためのプロセスや手法を開発する中で、メカニズムの解明が必要な現象や、解析や評価、予測手法等の開発を要するテーマを選出し、研究を行う。

 

 

*1:スバル車乗車中の死亡事故およびスバル車との衝突による歩行者・自転車等の死亡事故をゼロに。

 

 

[設立講座の概要]

 

– 名称:次世代自動車技術研究講座
– 取組体制:

群馬大学大学院理工学府、大学院医学系研究科、大学院保健学研究科、社会情報学部等、全学的な教育研究開発への関与を可能とする体制を構築し、活動の拠点を太田キャンパスに設置。講座教員(特任教授)はスバルから派遣。

設置期間:2020年4月1日~2023年3月31日(予定)

 

 

[代表者のコメント]

 

■群馬大学長 平塚浩士氏

 

「このたびの、スバル様との「次世代自動車技術研究」に関する共同研究講座の設置は、これまでに本学が進めてきた企業のニーズと大学の研究者の持つシーズのマッチングによる個別的な共同研究とは異なり、次世代自動車技術の課題解決にあたって、スバル様の技術者と本学の理工学、医学、保健学、情報学などの分野の研究者が包括的に連携して共同研究を進め、課題解決と関係人材の育成に取り組むことを目指します。
 大学では、研究に参画する教員や大学院生、学生は課題解決の研究の推進のみならず、企業の考え方や現場を知る実践的な機会が得られます。企業の皆様には学問的な知見に基づき新しい視点からの技術のとらえ直しの機会が得られ、両機関の全体の活性化に繋がることが期待されます。
 本共同研究講座が群馬県民はじめ多くの人達の豊かな生活を支える、安全安心で愉しいクルマ作りの研究に画期的成果を収め、同時に関連する人材が育つという、“新しい共同研究の群馬モデル”を構築すべく頑張って参ります」。

 

■スバル執行役員 CTO(最高技術責任者) 技術統括本部長 兼 技術研究所長 藤貫哲郎氏

 

「お客様に笑顔をもたらす次世代自動車技術の研究開発の一環として、これまで、国立大学法人群馬大学様と続けてきた共同研究の取り組みを新たなフェーズへと進めます。
 今回設置する共同研究講座が、ポストCASE時代を切り開く新たな技術や新しい価値を生み出し、人々の日々のくらしを豊かにする安心で愉しいクルマと社会づくりのための社外イノベーション拠点のひとつとなるよう力を入れていきます。
 また、スバルの組織改革/人材開発改革の一環として、共同研究講座での研究・育成活動/人材交流を、社内組織や技術者/研究者の活性化につなげていくとともに、社内研究者としての地位を確保し、キャリアアップの道筋のひとつとして制度の中に組み入れていきます。
 さらに、地元企業や他大学との連携、学生・院生や研究者との研究活動や交流を通じ、群馬県を中心とした地域社会や大学での教育改革に貢献していきたいと考えています」。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。