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2020年6月15日【エネルギー】

トクヤマとトヨタ、副生水素利用・FC発電機を実証運転

NEXT MOBILITY編集部

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総合化学工業メーカーのトクヤマとトヨタ自動車は、燃料電池自動車(FCV)MIRAIに搭載されている燃料電池システム(FCシステム)を活用した定置式の燃料電池発電機(以下、FC発電機)を、山口県周南市のトクヤマ徳山製造所内に設置し、副生水素を利用した実証運転を開始した。実証運転は、2022年3月末までを予定している。

FC発電機は、MIRAIに搭載されているFCスタック、パワーコントロールユニット(PCU)、2次電池などのFCシステムの活用により、高性能で安価な機器の製造を目指し、トヨタとトヨタエナジーソリューションズが共同で開発している。

 

今回、徳山製造所内に導入したFC発電機は、昨年9月から、トヨタ本社工場内で実証運転中の定格出力100kWのFC発電機をベースに、定格出力を50kWに変更、部品レイアウトの見直しなどで、メンテナンス性向上などの改良を加えたものとなる。

 

<FC発電機の基本スペック>

 

– 横幅×奥行×高さ:2.9×1.5×2.7m
– 重量:約3.5t
– MIRAI流用の主なFCシステム:FCスタック、PCU、2次電池、エアーコンプレッサー

– 定格出力:50kW
– 発電効率(送電端):50%以上(目標)
– 定格電圧/相数/周波数:AC210V/三相三線/50・60Hz
– 燃料電池の種類:固体高分子形
– 水素純度:純水素(99.97%)
– 起動時間:40秒(定格出力到達時間)

 

 

 

今回の実証運転では、トクヤマが食塩電解法で苛性ソーダを製造する時に副次的に発生する副生水素を、FC発電機の燃料として活用。トクヤマは、副生水素を安定供給する役割を担い、FC発電機で発電した電力は、定格出力50kWで徳山製造所内へ供給する。

 

トヨタは、水素使用量当たりの発電量などのエネルギー効率、発電出力の安定性、耐久性、メンテナンス性、海風による塩害の影響などの検証・評価を行う。さらに、副生水素の活用による発電性能への影響や外部から水素を購入した場合と比べた燃料代などの経済性を試算する。

 

 

 

今後、トクヤマは、国内有数の高純度な副生水素供給能力を持つ総合化学メーカーとして、副生水素を活用した地域貢献モデル事業の検討を進める。トヨタは、FC発電機の普及に向けてFC発電機の出力ラインナップの拡大、エネルギー効率や耐久性向上・コンパクト化・コスト低減等の商品力強化に向けた研究・開発とビジネスモデルの検討を行う。

 

トクヤマとトヨタは、今回の実証を通じて水素社会の実現を目指した取り組みをさらに進めていくとしている。

 

 

■トクヤマ:https://www.tokuyama.co.jp/index.html
■トヨタエナジーソリューションズ:https://www.toyota-energy.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。